喜 劇  団 体 列 車
 1967年東映、瀬川昌治監督、列車シリーズ2作目。協力日本国有鉄道、国鉄四国支社、奥道後国際観光。
舞台は四国伊予、国鉄伊予和田駅に勤務する山川彦一(渥美清)が、一人で列車に乗って来てしまった子供志村健一の家の最寄りである宇和島駅へ送り届けた時その母親志村小百合(佐久間良子)に一目惚れした事に始まる恋愛コメディー。ミヤコ蝶々、笠智衆ら名優が共演。
趣味的には、気動車急行に付けられていた丸い愛称マーク、キハ58の顔にあった赤いヒゲ、またホームと改札口の間に妙に広い空間のあったかつての徳島駅などは貴重な映像です。
四国全土のオールロケで勿論阿波踊りも出てきます。
伊予和田駅。(オープニングのシーンなので縦長に映っている)
国鉄に伊予和田という名前の駅は実在しない(伊予和気ならあるが)。冒頭に「呉方面フェリポート連絡口」の表示が映る。またかつて国鉄の運航する4つのうちのひとつ仁堀航路があったことを考えると単純に堀江駅ではないかと思い訪ねてみると・・・。
山の稜線及び駅全体の感じからやはり堀江であった(高松方向をみる)。
92年5月14日撮影
松山方面から蒸機が引く客車列車が到着するところ。
現在では背後に大きな建物が建っているが全体の感じは同じ。
オープニングで、出勤のため自転車に乗った彦一が伊予和田駅に着くところ。右側に商店の看板が映っている。
四国一周の団体旅行で参加者が駅へ集まるシーンでその看板に西村商店の文字が・・・。
私が訪れたときも西村商店は健在であった。
宇和島駅へ子供を迎えに来た志村小百合の後ろに四国名物の荷物気動車のゲテモノ顔が。
86年8月2日撮影の同一地点。
(この映画とは関係ありませんが)
宇和島駅前には鉄道唱歌の詩碑がある
(鉄道には関係ない映像ですが)
坊やの看病のため宇和島で徹夜になってしまったが、急げばまだ松山での助役試験に間に合う。宇和島駅へダッシュする彦一の姿。
その場所は宇和島市立住吉小学校近くの県道274号線。
94年5月11日撮影。
右へ曲がって橋を渡る。
橋の名前は見返橋。後ろのこんもりした所は住吉公園。
四国一周の団体旅行のシーンで映った二代前の高知駅の駅舎。
 1988年9月30日放送のNHK連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」最終回1つ前の回で結城暢子(藤田朋子)と夫の武野博史(山下真司)が高知駅に着いたところ。鉄筋の建物の高知駅が映しだされていたが、高架化された今この建物さえ過去のものになってしまった。

喜 劇  婚 前 旅 行 
 1969年松竹、瀬川昌治監督、旅行シリーズ2作目。協力長崎市観光協会、田川ラジュウムランド他。主題歌のピンキーとキラーズの「愛のチュチュ列車」も懐かしい。
国鉄専務車掌の田村宏吉(フランキー堺)、ちゃんぽん屋の娘と仲良くなった息子の昭太(森田健作)、父親で何かと言えばお召列車を運転した事を自慢げに口に出す吉五郎(伴淳三郎)の鉄道一家を描く。お手伝い役にミヤコ蝶々、宏吉にせまるちゃんぽん屋の姉役に倍賞千恵子。
趣味的にはDD51牽引20系ブルトレさくら号、EF65500番台牽引さくら号、三角屋根の長崎駅旧駅舎、長崎機関区に集う蒸機など。地域行事に長崎くんち。
長崎本線旧線を行くDD51牽引さくら号のシーン。

喜 劇  急 行 列 車 
 1967年東映、瀬川昌治監督、列車シリーズ3作目。協力日本国有鉄道。特急列車の専務車掌青木吾一(渥美清)のブルトレ内でおこる様々な出来事を通じて乗務員の姿を描く。
食堂車ウェイトレスに大原麗子、妻きぬ子に楠トシエ、吾一の憧れの人塚田毬子に佐久間良子。
趣味的には今は無き東京駅14番線から発車するEF65509牽引20系ブルトレさくら号、電源車にはパンタ撤去のカニ22、希少価値の高いED73牽引の姿、「喜劇婚前旅行」と同じく長崎本線旧線を行くDD51牽引さくら号、西鹿児島駅旧駅舎など。
吾一の浮気を疑った妻きぬ子が吾一の乗務している富士号を新幹線で熱海まで追いかける途中、茶色の電機EF61が引く雑客急行らしき列車が映るが富士号のつもりだったのか?
日豊本線でのDF50牽引の姿もあり趣味的にはそこが非常に貴重だが、ストーリーとしてはその直後の列車内での出産に追われる乗務員の姿が最高の見せ場として作られていてトンネルを出るのと時を同じくして生まれるという具合になっている。
地域観光がらみでは日南海岸、長崎平和公園
グラバー園、オランダ坂、桜島など。

なお、気仙沼線陸前階上駅の回想シーンがでてくるが、実際の駅だったのか?機関車からするとここは只見線の駅ではないかとも思えるが。
私も撮影したことは僅かしかないがDF50牽引の富士号の姿は貴重。

喜 劇  大 安 旅 行 
 1968年松竹、瀬川昌治監督。旅行シリーズ1作目。協力南紀白浜ホテル浦島、白浜温泉他。かつて南紀白浜地方が新婚旅行のメッカだった頃の国鉄に勤める専務車掌並木大作(フランキー堺)と父親で蒸機の機関士をやっている甚吉(伴淳三郎)を中心に鉄道マンの生活姿を描く。大作が首ったけのめはり寿司が名物の弁当屋の娘に新珠美千代、その母親に笠置シヅ子、大作にせまる観光ガイドに倍賞千恵子、ポン引きに連れ去られようになる女性に早瀬久美。
趣味的にはやはりキハ82系ディーゼルカー、紀伊勝浦での蒸機、新宮構内でのDF50、転車台・ラウンドハウスでの蒸機など。伴淳三郎のトンネル内で格闘する機関士姿は一番の見せ場。
観光地としては、白浜、円月島、三段壁、千畳敷など。
キハ82が名車であるゆえんはやはり
このフロントマスク。


よ さ こ い 旅 行 
  1969年松竹、瀬川昌治監督、旅行シリーズ4作目。協力高知県、よさこい祭振興会、愛媛県長浜町、四国松山ホテル奥道後他。
国鉄土佐大原駅に勤務する坂本竜太(フランキー堺)、妻の町子(倍賞千恵子)の生活を描く。新駅長の山下吉五朗は伴淳三郎だが、その母のヒサを伴淳が2役で演じており、その老婆が実に良く似合っていて笑える。
土佐大原という駅は高知から南へ20kmほど下った駅としているが国鉄にその名の駅は実在しない。ここは予讃線伊予長浜廻りにある下灘駅でそのロケーションの良さから青春18きっぷのポスターなどに使われて有名になった駅。しかし現在は海側が埋め立てられ国道が出来たため海からやや離れてしまっている。
崖崩れで線路が埋まったところへ列車が向かってくるのを止めようとするところは鉄道舞台としての最大の見せ場。
趣味的には、地味ながらキハ20の国鉄気動車標準のツートンカラーは今見ても美しい塗分け。
観光としては高知はりまや橋、高知城、よさこい祭りなどがでてくる。
土佐大原駅列車到着を俯瞰で捉えるシーン。
下灘駅はかつては列車交換駅であったが、内子廻りの新線ができて列車本数が減り、現在では片側1線の線路は剥がされてしまっている。
92年5月14日撮影。
夕日のシーンはいい感じ。
 
妻と別居状態で駅で自炊する竜太。
当時は貨物側線もあった。
貨物側線は勿論なくなっているが貨物のホームは残っている。


喜 劇  各 駅 停 車 
 1965年東宝、井上和男監督。協力日本国有鉄道。ナポレオンと呼ばれるベテラン機関士寺山源吉(森繁久弥)と万年助士の丸山咲平(三木のり平)の迷コンビによる蒸機運行を通して鉄道人生を描く。源吉の妻に森光子、おでん屋の女将に岡田茉莉子。舞台は国鉄足尾線(現・わたらせ渓谷鉄道)。草木ダム建設により線路付け替えで湖底に沈んだ草木駅の名前も出てくる。足尾線を行くC12の姿が随所に出てきて、特に平行する道路からの並走撮影がいい。
転覆した列車のシーンは実際の車両を使ったもので国鉄全面協力があったからこそ。現代のJRではこういったものは出来ないであろう。
高崎第一機関区。ラウンドハウスや転車台など蒸機全盛の雰囲気が十分に味わえる。


大いなる旅路(映画) 
1960年東映、関川秀雄監督。協力日本国有鉄道。
国鉄の機関士岩見浩造(三国連太郎)とその一家の30年にわたる生活を描く。妻ゆき子に風見章子、次男静夫に高倉健、機関区長に東野英治郎、親友の佐久間太吉に加藤嘉。
盛岡機関区を起点に山田線が舞台。雪崩に蒸機列車を突っ込ませ転覆させるシーンは数ある鉄道映画の中でも随一の生々しさ。
登場する機関車の形式も多岐にわたる。終盤には151系こだまや新しくなった盛岡の駅舎がでてきて長い年月がたったことを実感させる。最後の雪が舞うシーンが強く印象に残る。
転落シーンはハチロクを実際に落としたのだが、この位置から撮るのにカメラマンも命がけだったと何かに書いてあったのを思い出す。

新 幹 線 大 爆 破 
 1975年東映、佐籐純弥監督。鉄道パニック映画の代表作。
時速80kmまでスピードダウンすると爆破するという爆弾を仕掛けられたひかり109号を取り巻く人々の姿を描く。
題材が強烈で国鉄から撮影協力を拒否されミニチュアを使った部分が多く、いかにも模型といったシーンがあってその辺の辛口評価が多いのも事実。
新幹線の映画でありながら蒸気機関車も出てくるという対比は興味深い。蒸機の爆破は国鉄夕張線との設定だが、実際には私鉄の夕張鉄道の専用線で撮影が行われた。
犯人逮捕に失敗が続く中、国鉄の方には乗客救出の方法はないのかと言われ、乗客を列車前方へ移して後ろを切り離して止めてみる、あるいは後ろから別の列車を追いつかせ乗客を移しとるなどの案を提示されるが、それは不可能だとの理由説明をする。すると「精巧であればあるほど一朝有事の際は不便ですね」との発言に対し、倉持運転指令長(宇津井健)が言った言葉。
「どんな小さな変事でも(自動的に)止める。これが新幹線保安の基本理念でしてね。」
私はこの言葉が好きである。新幹線安全輸送実績の源がここにある。

(新幹線を扱った映画には他に「動脈列島」というものがある。)
前方に故障車が出たため、ひかり20号通過後の上り線へ入れる。しかし、このタイミングはあり得ない!技術的な会話がいろいろ出てくるのは興味深いが。

 その他多数の鉄道舞台映画
 鉄道舞台映画は多数あるが私が見たものは上記のほかには主に以下のものがある。

「大いなる驀進」 中村嘉葎雄・三国連太郎(20系ブルトレの車掌)。EF58、C61等が牽引。国鉄全面協力でロケ列車を仕立てて制作。列車を守る乗務員の姿を描く。土砂崩れシーン有。

「喜劇逆転旅行」旅行シリーズ3作目。フランキー堺主演(以下旅行シリーズ全て)、東北の急行専務車掌。食堂車パーサーに伴淳三郎。森田健作と早瀬久美との恋人同士は後の青春ドラマのコンビ。奥羽本線系統の雑形列車シーン多数。

「喜劇縁結び旅行」旅行シリーズ5作目。国鉄播州赤穂駅の旅客係。初詣団体列車の集客準備に追われる中での恋の顛末。

「満願旅行」旅行シリーズ6作目。20系ブルトレはやぶさ号の専務車掌。理想が高く見合いを繰り返す。見合い相手役に香山美子。「喜劇急行列車」と同じく車内出産有。観光地では桜島、磯庭園(仙巌園)など。趣味的にはDD51牽引シーン、西鹿児島駅旧駅舎、73系国電他。

「体験旅行」旅行シリーズ7作目。新潟車掌区のベテラン車掌。冒頭に蒸機走行シーンD51、D60、C12等。他の鉄道舞台映画の多くがブルトレ等客車列車が舞台なのに対し、これはこだま形特急電車「とき」号が目玉。緊迫シーンとしてダイナマイト積載のトラックが踏切で立ち往生の所へ列車がせまる。その牽引機にC571。

「開運旅行」旅行シリーズ8作目。ブルトレみずほ号の専務車掌。

「喜劇誘惑旅行」旅行シリーズ9作目。ひかり号の専務車掌。

「喜劇怪談旅行」旅行シリーズ10作目。紀勢本線太地駅駅長。

「快感旅行」旅行シリーズ11作目。上野ー金沢間の急行列車の専務車掌。EF58牽引10系寝台車。地上ホームの金沢駅。C58140牽引おくのと号など。

「喜劇初詣列車」列車シリーズ3作目。渥美清主演。スキーヤーで混み合う上越線の車掌。
165系急行、湘南色長編成が懐かしい。キハ82系つばさのシーン有。


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