鉄道舞台映画・ドラマ 
かつて国鉄時代には鉄道を舞台にした松竹や東宝の映画、またテレビドラマが制作されました。今は無き車両や列車、駅舎などの貴重なシーンが多々出てきます。蒸気機関車終焉間際には特集番組も制作されました。ここでは私のお気に入りの幾つかを掲載してみました。 

大いなる旅路(TVドラマ) 
「大いなる旅路」と言うとネット検索でもそうだが映画のそれを指す場合が多いがテレビドラマとして制作されたものがあり、これは全く別ものである。1972年の鉄道100年を記念して作られた親子4代に渡っての鉄道一家を描いたものでオムニバス形式で出演者も多数。主題歌がお気に入りの人も多いはず。オープニングのパターンも幾つかあるが、播但線のC57三重連など名シーンも出てくる。語り草となっているつばめガール・はとガールと結核療養所の人たちとの「線路の友情」などの話もでてくるが、私の好きなのは最後の三話である。特に最終回は特別お気に入りです。
 あの駅はどこ? 最終回「ひとすじの道」
(72-10-15放送)  ロケ地調査
家族の心配をよそに雄介(進藤英太郎)と静(小夜福子)は昔乗務したD51の903へ会いに各駅停車を乗り継いで大湊へ向かう。蒸機が出てくるシーンは小海線でロケが行われた。そうなるとあの時出てきた駅はどこだったのだろうか。今あの駅はどうなっているのか。長年気になっていた。何十回か見ていたある時どうしても確認したくなって、予想した結果をもとに信州旅行の際に小海線をまわって検証してみた。


まず初めはC56牽引の混合列車とディーゼルカーとの離合シーン。この駅はどこだったのだろうか?
山の稜線及び線路配置からしてこの駅で間違いないと思われる。ここは佐久海ノ口駅。上下線の対向式ホームの構成は同じだが右側の貨物側線・貨物ホームは今はなくなっている。旅客ホームはドラマの画面から想像していたよりもかなり短かかった。左側のホームが小諸方面行の下り。
(現在の写真はすべて2011年7月14日撮影)
貨物側線のあった終端部には車止めの跡が確認できた。
弁当を買った雄介が乗りこむシーン。
そのシーンを同じ位置から見てみる。客車はホームからはみ出たこの位置に停車していた。貨物が止まっていた左側の待避線は今でも一応線路は健在
上りホームから下りホームをみる。弁当を持った雄介の後ろに映っていた待合室は真新しくなっていた。
小諸方向へ出発してポイントの合流する所。
これも山の稜線から間違いない。
雄介が転車台のC56131に見とれて客車から降り、機関士らと話をしているうち列車が発車してしまい、おいてかれた駅。
転車台の形状などから調べてみるとどうやら中込機関区らしい。後ろの建物との位置関係から写真左側あたりに転車台があったと思われる。
列車が出て行ってしまうところ。
跨線橋の形状及び右側ホームの屋根の構造、上下線ホームの間に側線が1本あった幅からもこの中込駅だったと知れる。左側ホームが2番線である事も一致する。
作業員が台車まわりを点検しているシーン。車体標記に所属の「長ナノ」が確認できる
乗り遅れた雄介が貨物みたいに申し送りされてきた駅。岩手川口駅との設定。実際に東北本線(現・IGRいわて銀河鉄道)に岩手川口という駅はあるが昭和40年代とはいえ東北本線の駅としては雰囲気がローカルすぎる。後部のワフへ乗せてもらってきたという設定でC56牽引の貨物列車が到着するところ。
これも線路配置及び山の稜線さらに製材所がある点から調べた結果この羽黒下駅との結論に達した。右側の上りホームの長さが合わないようだが調べた結果延長された痕跡が確認された。上記の写真は小淵沢方面へ向かう上り列車となる。
ドラマ画像のホーム端は左半分は階段だが右半分は傾斜になっている。上りホームへ渡ってみるとその傾斜部分が確認できた。
上記の貨物列車の後部のワフから雄介が降りてくるところだが、順光で捉えた到着シーンから考えるとワフの側面は影になっているはずなのに光が当っている。背景もおかしい。
あたりを見まわすと背景に一致する所があった。下りホームの位置から上りホームの小淵沢方向を向いた場所。つまり列車到着シーンは上り列車だが、雄介が降りてくるシーンはこちら側の下り列車で撮影された事になる。
駅員の案内で駅事務室へ向かうところ。
やはりこちら側の下りホームである。
雄介へ服を着せる静。スロー再生すると一瞬、静の後ろに「中込小諸方(面)」の文字が確認できた。小海線でロケが行われた証である。
(ドラマ制作時の様子を思い浮かべたいのであって、決して荒探しをしている訳ではありません)


このあと岩手川口の駅前のシーンがあったがそれは実際の駅だったかもしれない。(架線柱らしきものが映っており、駅舎等全体の感じが似ているので)
大湊駅、これは実際の大湊駅。
後ろに映っているのは盛オミ所属の
キハユニ26。
大湊の駅は本物だが問題はこのシーン。
大湊の機関区で指導機関士からD51903が廃車解体のため1週間前に長野へ送られたとの話を聞くところなのだが跨線橋及び旧形の電気機関車らしきものが映っている。さらに背後には電化されているような大きな構内が見受けられる。また大湊には確かに機関庫があったがこの画面の前後に映し出されたものは大きすぎる。
更にこのシーンの前に、大湊駅構内の貨車の背後に海が見える情景があり、左へ向くと機関庫があるように映しだされているのだが、そこをスロー再生すると画像が連続していなく別のカットに代わっている。
峰岸(東野英心)が、903号機がいつ解体されるのか長野へ電話して確かめてくると言ってこの場を離れて行くのだが・・・・・・。
実はこの撮影に使われた場所こそが
長野機関区なのである!
蒸機の解体シーンは何度見ても身につまされる。
D51903のナンバープレートを発見。

動画(2分04秒)
写真は東北・北海道旅行の際立ち寄った82年3月4日撮影の本物の大湊の機関庫。(機関庫も転車台も今はもう無い)
機関区の情景として使うには殺風景過ぎたのであろうか・・・。


(903号機が長野で解体されたのは本当だが、最終配置は実際には中津川であり大湊機関区に配置されたことはない。)


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